2023/03/24

現行の制度で検査員資格の取得に必要な要件は、整備工場での主任者としての実務経験の期間が一定以上であり、直近の整備主任者研修の受講を完了していること、指定工場で勤務していること、指定の教習を受講して修了試験に合格することの3つです。2027年1月1日開始の新制度でもこの要件自体に変更は加えられない予定ですが、整備主任者に選任されるために必要な自動車整備士の体系が変更されることから、自動車検査員で必要な資格の要件が変更になります。現行制度では、一級整備士は全区分、二級整備士についてはシャシ整備士以外の3区分が検査員資格の取得に必要でした。2027年に一級、二級、三級がそれぞれ総合と二輪の2種類のみとなることに伴い、総合整備士であれば全ての自動車の検査を、二輪限定の整備士は二輪車のみの検査を行えるようになるよう変更されます。
二輪限定の状態で四輪自動車の継続検査を実施すると、法令違反として処分の対象となります。新制度の検討が行われている段階では、自動車検査員の資格を一級整備士取得者に限定する案が出ていました。現行の整備士制度では一級と二級の差があまりなく、それ故に二級から一級を目指す人が増えていないという現状があり、これを改善する方策の一つとして先述の案が考え出されました。しかし、整備業界から検査員の資格を取得するまでにかかる期間が長期化することにより、かえって整備士を目指す人が減ることになりかねないといった意見が寄せられ、さらに検討を続けた結果、この案の採用はなくなりました。